芝居

 久しぶりに演劇を観た。地元下北沢の劇場で、数日前に偶然ヤフオークションで安く手に入れたチケットで。ポツドールという劇団の『激情』というお芝居。
 話は東北のかなりの田舎街が舞台で、ひと冬の間に繰り広げられる小さなサークル(ヤンキー男女が多数登場。)内でのどうしようもない日常がひたすら描かれる。全編通してゾッとするようなドロドロ人間劇という感じなんだけど、私はその方向のリアル追求なら割と違和感がなく、個人的にはけっこうよくできた芝居なんじゃないかと思った。かなりのエログロなので、わざわざ人間関係の嫌な面を拡大して描いてるふうに見えた人もいるかもしれないけど、まぁこれはお芝居な訳だし、流行の泣ける系映画だって違う方向で大袈裟に描いてるわけだからこういうのがあってもいいんじゃない?と私は思った。(現実を分析してちょっと過剰なリアリズムでもって組み立て直しただけで、めちゃくちゃなことをやっているとは思わなかった。)  芝居はテンポよくいっきに進んでいって2時間あっという間だった。「きれいに正しく。そして美しく。そして都合よく。」といった映画(・・・例えばヨン様がでてくるような韓流映画とか・・・ってそういうのあまり観たことないからイメージだけど・・)が多い昨今、逆にたまにはこういうドロドロ超リアルな感じのをみるとバランスがとれていいのかもしれない。一種のガス抜きっていうか。地方のあまりの退廃ぶりと、いかにも嫌ぁ〜な人間関係の描写にゾッともしたけど、「あ〜、でもこういうのが現実だよなぁ〜・・」と変に納得させられたりもして、なんか日常生活から切り離されて深い穴に放りこまれたような気分になった。
 でも、↑なんだかんだ言っても、よくありがちな作り手の自己満足だけのダメな感じはなくてけっこう面白かったので、もしかしたらこの劇団の芝居をまた今度観に行くかも・・、と思った。たまにこういうのを観るのもいい気がする。